2013年1月21日月曜日

エベレスト飛行の夢

 山中湖に車が差し掛かると、太陽は富士の裾野に沈みかけていた、同志街道は夜中になる、飛行機の手配があるので早く戻りたいが見通しの利かない中での葛折りの通行は危険、湖畔の駐車場で一夜を明かす事にしたがこれが間違いだった、朝目覚めると昨夜来の雪にスッポリ埋まってドアが開かない、昼過ぎに「中に誰か居るよ!」と近くのコテージの管理人に救出された、道路の通行再開までにもう一日彼のコテージで足止めを余儀なくされ、エベレスト飛行の夢は朝霧の風神に待ったをかけられた…。

 最初の朝霧でテイクオフ迄送ってくれたのはガン手術でドクターストップ中の妖怪だった、彼が広げてくれたきっちり組合わされた翼のライザを手にした時、胃の大半を摘出お粥しか受け付けないのに、いきるとは空を舞う事と誰より高く遠くまで飛び続ける彼の気持ちが伝わってきた、彼が燃え尽きないうちに一緒に飛んでみたい、それから朝霧詣でが始まった、しかし妖怪の足元にも及ばない未熟な腕ではエベレスト飛行なんて無理だった、止めてくれた朝霧の風神に感謝。

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